不安を軽減!インプラント治療をリラックスして受ける方法
インプラント治療は、何からの原因で歯を失った場合に行われる修復治療のひとつです。しかし、ブリッジや入れ歯とは異なり、外科手術が必要になるので多くの人々が治療に対して不安や恐怖感を持っています。こうした不安や恐怖心が治療を先延ばしにする要因となることや、過去の経験から来るトラウマなどが影響し、精神的な負担が大きくなることがあります。
こうした不安や恐怖感を軽減するために用いられる「静脈内鎮静法」という方法があります。静脈内鎮静法は不安や恐怖感の軽減だけではなく高血圧や糖尿病など持病がある方にも適応される方法です。
本記事ではインプラント治療の概要や静脈内鎮静法について詳しく解説します。
インプラント治療とは
インプラント治療とは、歯を失った部分の顎の骨に人工歯根を埋め込み、人工歯を装着して失った歯を補う方法です。これにより、見た目や機能性を回復することができます。インプラント治療の主な流れは以下の通りです。
インプラント治療の流れ
①カウンセリング
インプラント治療を希望する患者様に対しては、必ずカウンセリングが行われます。歯科医師とカウンセリングを行うことで患者様が抱える悩みや不安を伝えることができ、治療の必要性や適した治療についてご説明していきます。カウンセリングの際に疑問に思っていることなどを話せるよう、事前に聞きたいことや確認したいことを整理しておくと良いでしょう。
②事前検査
カウンセリングのあとに、インプラント治療ができるかどうか、どんな治療になるのかの詳細を把握するために、X線撮影やCTスキャンを行い、骨の状態を評価します。骨の状態によってはインプラント治療の前に骨造成を行う必要があります。
③治療計画
検査結果を基に、治療計画を立てます。この際、インプラントの種類や埋入位置、治療の細かいスケジュールが決定されます。
④インプラント体の埋入手術
インプラント体を埋め込む手術は局所麻酔を用いて行われます。術中の痛みはほとんどありません。インプラント体を骨に埋め込むことで、人工歯根が安定します。
⑤結合期間
埋め込んだインプラント体が骨と結合するまで数ヶ月待ちます。この期間に、歯肉も治癒してインプラントが安定します。
⑥人工歯の装着
しっかり結合してインプラントが安定したら、人工歯を装着します。
インプラント治療はこういった流れで行われますが、手術の際に大きな恐怖心や不安を持つ人も少なくありません。そんな人におすすめしているのが静脈内鎮静法(セデーション法)です。
静脈内鎮静法(セデーション法)とは
静脈内鎮静法は、患者様がリラックスした状態で治療を受けられるよう、静脈に薬剤を注入する方法です。静脈内鎮静法は不安や恐怖感の軽減だけではなく高血圧や糖尿病など持病がある方にも適応されます。全身麻酔とは異なり、完全に意識を失うことはありませんが、深い眠気に襲われているような状態になるので心身共にリラックスし、痛みや不快感を感じることが少なくなります。
静脈内鎮静法が推奨される人
以下のような患者様には、特に静脈内鎮静法が推奨されます。
・過去の歯科治療でトラウマを抱えている人
過去の治療経験から強い恐怖感を持つ患者様には、リラックスした状態で治療を受けられるこの方法が有効です。
・歯科治療へ強い不安感や恐怖感を抱える人
不安感や恐怖感が強い人でも、静脈内鎮静法によって心身の緊張を和らげることができます。
・長時間にわたる治療になる場合
長時間にわたる手術や治療が必要な場合、患者様が快適かつリラックスして過ごせる状態にすることが大切になります。
・全身疾患や健康状態に問題のある人
不安や恐怖感の軽減だけではなく、高血圧や糖尿病など持病がある方にも、安全に治療を行う適応されます。
静脈内鎮静法のメリット
静脈内鎮静法には多くのメリットがあります。
①不安の軽減
最も大きなメリットは、治療に対する不安の軽減です。治療中に感じる恐怖感や緊張感が大幅に軽減されるため、安心して治療を受けられます。
②快適な治療
痛みや不快感をほとんど感じることがないため、治療を快適に受けることができます。
③記憶の消失
多くの患者様は、静脈内鎮静法によって治療中の記憶があいまいになります。治療が終わった後の不安や恐怖感を軽減でき、次回の治療に対するストレスも減少します。
静脈内鎮静法を受ける場合の準備
静脈内鎮静法を受ける前には、しっかりとした準備が必要です。
・カウンセリングの重要性
静脈内鎮静法を選択する際には、まず歯科医師とのカウンセリングが必要です。患者様の健康状態や過去の医療歴、アレルギーの有無の確認が行われることがあります。また、治療に対する不安や恐怖心を率直に伝えることも重要です。気持ちを明確に伝えることで歯科医師も最適な治療計画を立てることができます。
・健康状態の確認
患者様の健康状態は治療の安全性に直結する重要な要素です。特に、心臓疾患や呼吸器系の病歴がある場合、静脈内鎮静法の適用に制限が設けられることがあります。
・追加料金の確認
静脈内鎮静法を用いる場合はインプラント治療の料金とは別に追加で費用がかかります。どの程度必要なのか、どんなプランがあるのかをしっかり確認しておきましょう。
静脈内鎮静法を用いた治療中の状態と治療後
静脈内鎮静法を用いてインプラント治療を行う場合の治療中の具体的な状態や治療後についても知っておきましょう。
治療中
静脈内鎮静法を用いる際、歯科医師はまず静脈に鎮静剤を注入します。患者様は徐々にリラックスし、治療に対する恐怖感が和らぎます。治療中、患者様は自分がどのように感じているかをやんわりと話すことができますが、多くの場合、時間の感覚がなくなり、治療中の記憶もほとんどないという人がほとんどです。治療中、必要に応じて追加の鎮静剤を投与することもあります。
治療後
治療が終了した後は、しばらく安静にする必要があります。静脈内鎮静法の効果が切れた後もしばらくは気分がふわふわした状態が続くことがあるため、しばらくの間、リカバリールームで安静に過ごすことが一般的です。歯科医師や歯科衛生士が状態を確認し、必要に応じてケアを行います。静脈内鎮静法を用いた場合でもそうでない場合でも、術後のケアは非常に重要です。痛みや腫れが生じることがあるため、処方された痛み止めを適切に使用して痛みを和らげ、患部を冷やすなどの対処法が必要です。また、インプラントを長く快適に使用するため、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることが重要です。
静脈内鎮静法に関するよくある質問
Q1. 静脈内鎮静法の副作用やリスク
静脈内鎮静法を用いた場合、軽い副作用がある場合もあります。一般的には、吐き気やめまいなどが報告されていますが、ほとんどの患者様は問題なく治療を受けられています。リスクを最小限に抑えるためにも事前の健康状態の確認が重要になります。むしろ静脈内鎮静法を用いることで数値も安定して治療の成功率も高くなります。
Q2. 静脈内鎮静法は保険適用できるか
静脈内鎮静法は基本的に自費診療で保険適用外ですが、場合によっては保険適用が可能な場合もあります。事前に歯科医師に問い合わせておくと良いでしょう。
まとめ
インプラント治療は、大変魅力的な治療ですが外科的な治療になるため、恐怖心や不安感が大きな障害となることがあります。しかし静脈内鎮静法を利用することで、リラックスした状態で治療を受けることが可能となり、患者様は安心して治療を受けられます。
恐怖心・不安感でインプラント治療を躊躇されている方や、高血圧や糖尿病など持病がある方もぜひ一度ご相談ください。