インビザラインで治せる不正咬合の種類
インビザラインは、透明なマウスピースを使って歯並びを整える矯正治療法です。従来の金属ブラケットを使った矯正治療とは異なり、目立たず、取り外しが可能なため、多くの患者に支持されています。本記事では、インビザラインで治せる不正咬合の種類と考えられる治療制限や条件について詳しく解説します。
インビザラインとは?
インビザラインは、特別に設計された透明なプラスチック製のマウスピースを使用して歯を動かす矯正治療法です。患者様は約1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換し、徐々に歯を理想的な位置へと動かしていきます。インビザラインは、患者の歯型をデジタルスキャンし、そのデータを基に治療計画を立てます。各マウスピースは少しずつ異なる形状をしており、これを順次装着することで歯が少しずつ動き、最終的に理想的な歯並びが実現します。
従来の矯正治療との比較
従来の金属ブラケットによる矯正治療と比べて、インビザラインは目立たず、取り外しが可能であるため、食事や歯磨きがしやすいというメリットがあります。しかし、装着時間を守る必要があり、適応症例にも限界があります。
インビザラインで治せる不正咬合の種類
①上顎前突(出っ歯)
上顎前突とは、上の前歯が前方に突出している状態を指します。インビザラインは、この問題を効果的に治療することができます。マウスピースを使用して上の歯を後方に移動させることで、自然な噛み合わせを実現します。
②下顎前突(受け口)
下顎前突は、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態です。インビザラインは、下の歯を後方に移動させることで、この問題を解消します。
③叢生(歯の重なり)
叢生は、歯が重なり合っている状態を指します。インビザラインは、歯を適切な位置に動かすことでスペースを作り、歯並びを整えます。
④開咬(オープンバイト)
開咬とは、上下の前歯が噛み合わずに隙間がある状態です。インビザラインは、上下の歯を前後に動かすことで、適切な噛み合わせを実現します。
⑤深咬(ディープバイト)
深咬は、上の前歯が下の前歯を過度に覆っている状態です。インビザラインは、上の歯を上方に、下の歯を下方に動かすことで、正しい噛み合わせを作ります。
⑥交叉咬合(クロスバイト)
交叉咬合は、一部の歯が正常な噛み合わせとは逆に噛み合っている状態です。インビザラインは、これを修正するために歯を適切な位置に動かします。
⑦空隙歯列(すきっ歯)
空隙歯列は、歯と歯の間に大きな隙間がある状態です。インビザラインは、歯を中央に移動させることで、隙間を閉じます。
治療制限を受ける可能性
インビザラインは大変魅力的な治療方法ですが、下記のようなケースでは治療制限を受ける可能性があります。
・重度の不正咬合
非常に重度な不正咬合の場合、インビザラインだけでは十分な治療効果が得られないことがあります。この場合、従来の矯正治療や外科的治療が必要になることがあります。
顎関節症(TMJ)
顎関節症を患っている場合、インビザライン治療は適さないことがあります。顎関節に過度の負担がかかるため、治療の計画を慎重に立てる必要があります。
歯の位置異常が激しい場合
歯の位置が極端に異常な場合、インビザラインでは十分に治療できないことがあります。この場合、他の矯正方法と併用することが必要です。
顎の骨の形状異常
顎の骨の形状が異常な場合、インビザラインだけでは治療が難しいことがあります。このような場合には、外科的な治療が必要になることがあります。
特殊な歯の欠損や埋伏歯
歯が欠損している場合や埋伏している歯がある場合、インビザライン治療は制限されることがあります。このようなケースでは、補綴治療や外科的治療と併用することが必要です。
インビザライン治療の適応条件
①年齢
インビザラインは、成長が終了した成人に最適です。子どもや成長期の若者には、歯の移動が予測しにくいため、従来の矯正治療や、インビザライン・ファーストと呼ばれる専用の矯正装置が用いられます。
②口腔内の健康状態
歯や歯茎の健康状態が良好であることが重要です。虫歯や歯周病がある場合は、まずその治療を行ってからインビザライン治療を始めることが推奨されます。これは矯正治療全般に言えることです。
③治療期間
インビザライン治療は、計画通りに進めるために定期的な通院が必要です。治療期間はケースによりますが、平均して12〜18ヶ月ほどです。時間に余裕のあるときに行うのがおすすめです。
④自己管理能力
インビザライン治療は、患者様自身がマウスピースを適切に装着し続ける必要があります。1日20〜22時間の装着が求められるため、患者様の自己管理能力や協力度が治療の成功に大きく影響します。
インビザライン治療のメリットとデメリット
メリット
・透明なマウスピースなので、他人に気づかれにくい
・取り外し可能なので食事や歯磨きの際など、日常生活が快適
・快適な装着感で金属ブラケットと比べ、口内の違和感が少なく口内炎のリスクも低い
デメリット
・1日20~22時間の装着が求められるため、自己管理が重要
・重度の不正咬合や顎関節症など、治療が難しいケースがある
・従来の矯正治療よりも高額になることがある
インビザライン治療の流れ
①初診とカウンセリング
②事前検査
③治療計画の立案
④マウスピースの製作と装着
⑤定期通院
⑥保定期間
治療終了後は、リテーナーと呼ばれる保定装置を使用して歯並びを固定します(保定期間)。リテーナーは、治療で整えた歯並びを保持するために重要です。また、治療が終わった後も、毎日の口腔ケアを続けることが大切です。歯磨きやフロスの習慣を継続し、健康な歯を維持しましょう。
まとめ
インビザライン治療は、適切な計画と管理によって多くの不正咬合を効果的に治療することができます。この記事で紹介したポイントを参考にして、自分に合った治療方法を見つけ、健康な歯並びを手に入れましょう。